香港の景色を一望しようと、ビクトリアピークに登りました。ピースボートが停泊した九龍からフェリーで香港島に渡り、すぐに歩き始めます。人がすごく多い。とりわけ多い辺りには、路上生活する人の住処がずらりと並んでいます。どこから来てこれからここで何をしようとしている人たちなのか?あれこれ雑多なものを山ほど積んでいるマーケットにも、たくさんの人が集まっています。
高層マンションが林立するあいだの急坂をゆっくりと登っていきました。ベンチのある所で休んでいたら、すぐ蚊に喰われました。仕方なくまた登りはじめ、ようやく港の景色が見えてきました。建物や木々にさえぎられて視界はすっきりしません。それから車道を歩いてもう少し登り、ようやく山頂近くの公園に着きました。港が見渡せるだろうと思しき辺りには、電波塔が立っていて立ち入り禁止でした。
ビクトリアピークから走るように降りてきて、さっきのマーケットをのぞいてみました。食べ物や、着る物や、飾る物など、単価の安い物がたくさん売られています。そこに、主に若い女性がいかにも楽しそうに群がっています。この辺りで働いている人たちが、休みの日に遊びに来ているのでしょうか?そういえば今日は日曜日でした。
フェリーで九龍に渡り返し、今度はストリートマーケットへ向かいました。街を抜けて行くと、通りに面したビルの入り口で、ショートパンツにタンクトップの女性がタバコを吸っています。そういうスタイルの人があちこちにいて、無表情な目つきで私たちを眺めています。あの人たちは、休んでいるのか、なにかの仕事中なのか、分かりません。
ストリートマーケットは、朝見たビル内のマーケットを露天に置き換えたようなものでした。あちらほどの人出ではなく、ちょっと足を止めて商品を見ると、店員が寄ってきます。手に取った段階で買う気十分と判断され、値段を聞いたらもう買ったと同様に見なされます。そのことが分かったので、あとはなるべく店は見ないようにして歩くことにしました。
香港は物価が高くて、胃が縮みます。コンビニに入って500㏄のビールとつまみを買い、海沿いの公園へ行きました。ここも人の波で、座るところを見つけるのさえ一苦労です。それでもようやく座ってビールを飲みました。
港の公園でブルース・リーの銅像を見ました。彼が主演した「燃えよドラゴン」を見たのは高校の卒業を目前にした正月でした。見終わった後、肩で風を切って映画館を出たのを覚えています。数年後に、ヨーロッパの山登りへ行く途中で香港に立ち寄りました。当時の香港国際空港は、今とは違って九龍湾にありました。「世界一着陸が難しい空港」と言われていたそうです。その時が初めてのフライトだった私は、そんなことは知りませんでした。乗っていた飛行機は、まばゆいばかりの夜景に突入し、海の上の滑走路にふわりと着陸しました。
ピースボートに戻って、出航するデッキから夜景を眺めながら、そんなことを思い出しました。