2025年7月17日木曜日

平ヶ岳(百名山82峰目)

平ヶ岳 2,141m
平ヶ岳は越後と会津の山々の奥にあるので麓から眺めることができません
そのため信仰の対象にもなりませんでした
この山のことが登山家に知られるようになったのは今から100年ほど前のことです

交通機関が発達した現在では山々へのアプローチは昔よりずっと便利になりました
それにもかかわらず平ヶ岳はいぜんとして登山者があまり行かない山です
なぜでしょうか?

それはこの奥深い山に簡単に登るにはツアーのようなものに参加する必要があるからです
今回はそのツアーのようなものに参加して平ヶ岳に登りました

まず登山の前夜は登山口から30㎞以上も離れた宿泊施設に泊まります
そんなに遠くにあるのですがそこが最も近くにある宿泊施設です
その晩は十数人の宿泊客がいました
二名の釣り人を除く全員が明日平ヶ岳を目指します

深田久弥の「日本百名山」をすべて登りたいという登山者は日本にどれくらいいるでしょう
その数は分かりませんがそれを希望している人はたくさんいると思います
それでなければこのように時間もお金もかかるツアーにこうして集まるわけがありません

15時にチェックインして近くの日帰り温泉で汗を流してくると早くも17時半から夕食です
大広間に宿泊者全員が集まって岩魚の塩焼きなどを美味しくいただきました
食事の途中で宿のご主人から平ヶ岳登山についてのプレゼンがありました

・明朝は朝4時にマイクロバスで出発して登山口に向かう
・朝食は宿が用意した握り飯を各自持っていき自分が食べたい時に食べる
・登山口に5時半には到着しそれぞれ登山を開始する
・山頂の往復には登り3時間半と下りに2時間半ほどかかる
・山頂近くに一部雪が残っているので登りは姫ノ池経由で行くことが望ましい
・帰りのバスは登山口を12時半に出発するので遅れないように戻ること

2013年の夏に帰りのバスが夕立につかまったそうです
林道の途中で沢からの水が勢いよく道を横切っていてバスが通過できなくなりました
工事中のユンボが救出に来てくれ一人ずつユンボのバケットに乗って流れを越えたそうです

そのほか明日の天気予報や山から見える景色などについて説明がありました

最後に私の連れが熊に遭遇する危険はないか質問しました
主人は熊は人間が来るのを察知して自分から身を隠すから大丈夫だろうと答えました
万一熊と遭ってしまったら静かに後ずさりする
襲ってきたら下へ向かって走って逃げる
熊鈴は何の役にもたたないとのこと

食事を終えて部屋に戻るとまだ19時ごろでしたが歯を磨いてすぐに寝ました

さて当日です
まだ暗い中を全員が時間通りに玄関の前に集まりました
主人が運転するマイクロバスに乗車して宿を出発しました
皆さん押し黙ってバスに揺られていました
私は握り飯を美味しく食べました

バスは奥只見湖に沿って進み中ノ岐林道の入り口に着きました
そこは鎖が施錠されさらに鉄製のゲートが道を塞いでいます
宿の主人はこれらを開けるとバスを林道へと進めていきました

驚いたことに林道わきの河原には巨大な雪塊がまだいくつも残っています
今年は例年にない大雪だったそうです

林道の途中で釣り人達を降ろしてバスは定刻通り登山口に着きました
登山口には簡易トイレが3つと広場があります
広場の片隅にはパイプ管で作った屋根の下に長ベンチがあり出発の準備ができます
その横に虫よけネットの張られたスペースがありここで宿の主人は皆の帰りを待ちます

大抵の人がトイレを済まし準備のできた順に出発します
私たちはこれといった準備もないのですぐに歩き出しました
主人が熊除けのロケット花火を一発撃ちあげました
空には上がらずに右側の藪に飛び込んでしまいましたが派手な爆発音は谷に木霊しました

沢を渡るとすぐに急登になりました
宿の主人の話ではこれが2時間半ほど続くということでした
足許を見ながらゆっくり上りました

一時間ほど登ると木々の背丈が低くなり谷を隔てて遠くの山が見えだしました

パーティーによって歩くペースが違います
ところどころで前後しましたが結局私たちが先頭で急登を登り切りました
風にたなびく草原の向こうに山々が見えました
そこから玉子石へ行きます
ふだんは寄り道を好まないのですが今日は時間に余裕があるので行ってみます
玉子石
玉子石から姫ノ池に向かいました
山頂近くの雪はだいぶ消えていてもう危険な状態ではなくなっていました
姫ノ池は池ノ岳の山頂に広がる池塘群です
昨夜までの雨で溜まった水が風に波立っています
姫ノ池から平ヶ岳の山頂まではしばらく背の低い針葉樹林帯を行きます
そこを抜けると草地が山頂まで続いています
一等三角点が置かれた山頂は針葉樹に囲まれていて視界がありません
山頂の手前からは遠くの山々が見渡せました
時間があるのでゆっくり景色を眺め行動食を食べました
早く帰るより山でのんびりしている方がいいので30分ほど昼寝をしました
帰りは膝ががくがくする下りの連続です
それでも往きには気がつかなかった景色が見えて気持ちが和みました
登山口の少し手前でヒカリゴケが見られるというので行ってみました
洞窟の中で意外に明るく光っているのが見えました
登山口には宿の主人と私たちよりも先に戻った人がひとりいました
主人は熱中症予防だといってキュウリの浅漬けをふるまってくれました
それとは別にビールを販売していたので下山祝いに飲みました

最後のメンバーがバスの出発予定時刻ちょうどに降りてきました
そしてバスでまた1時間半かけて宿に戻りました
するとこんどは宿のおかみさんが冷やしたスイカをご馳走してくれました

こうして私たちの平ヶ岳登山は楽しく無事に終わりました