渉を遊ばせるのにはなだらかで良いスキー場だったが、気合を入れて滑るようなゲレンデはなかった。
渉を遊ばせるのにはなだらかで良いスキー場だったが、気合を入れて滑るようなゲレンデはなかった。
冬晴れの陽は、ガサガサと落ち葉を踏みながら歩きたくなる。お弁当を持って、西武線の特急レッドアローで奥秩父の日向山へ行くことにする。
芦ヶ久保の駅は日陰になっていて寒いが、川を隔てた北側にはよく日の当たった日向山が見える。橋を渡り、急な舗装道路を登って行くと、やがて日向に出て汗をかくようになる。道端には落ち葉が積もっている。渉は落ち葉のところをガサガサと元気よく登って行く。山頂の手前で舗装道路から分かれて山道に入る。クヌギの葉はすっかり落葉していて、木の間越しにあたりの山が眺められる。
日向山の山頂は風もなく、駅から登って来た道が見下ろせた。ときどき電車が通るのも見える。景色を楽しみながらのんびりお弁当を食べる。
下りは横瀬駅へおりて、そこから西武線に乗って帰った。
飯能駅から市街を抜けて、天覧山の麓のお寺に出る。そこからひと登りで展望台のある山頂だった。低山だが、天覧山の名のとおり見晴らしがいい。そこから少し下り、西武線の線路と国道を横切って、巾着田へと続く山道へ入る。途中の原っぱで昼食にした。ガスコンロで即席ラーメンを作る。そこから巾着田まではもうすぐだった。
留学を終えて、目的だった修士号も得て、いまごろわたしは達成感に満たされていていいはずだった。しかし、なんだか調子がおかしい。どこかへ出かけたくなって、渉とハイキングへ行く。渉は電車が好きなので、車ではなく、西武線で行く。
留学前であれば、充分楽しめるハイキングであったはずだった。ところが、歩いていても、久美ちゃんが作ってくれたおにぎりを食べても、渉と特急レッドアローに乗っていても、どうも楽しくない。どうしたのだろう。逆カルチャー・ショックだろうか。