1982年6月5日土曜日

マチガ沢、芝倉沢

6月5日

 この山行で、Wさんと初めて会った。


 まず、この日はマチガ沢で小手調べをした。夏道をスキーを担いで登って行くと、1時間弱で雪渓に出た。ポールが立てられ、スラロームの練習をしているスキーヤーがいた。わたしたちはそこを通り過ぎ、どんどん上へ登った。沢がS字に屈曲した部分から上は、雪面に小さな瓦礫や草屑などがちらばっているので、スキーヤーは上がってこないようだった。


 そこからさらに登って行くと、大きなクレバスがあって、その上は沢幅が狭まり、スキーで滑るのはさらに困難になる。これより上では滑れない、とOさんとKはここで待っていることになった。わたしとWさんはスキーを担いだままさらに上まで登る。登山者がわたしたちを怪訝な目で見ている。


 そこから滑降したのだがスプーンカットの雪渓は非常に滑りにくい。それでもなんとか雪渓の下端まで滑り、やったなという気分になった。


6月6日

 早起きして、芝倉沢へ滑りに行く。


 マチガ沢の出合からテクテクと林道を1時間ほど歩いて芝倉沢の出合に着く。大きな堰堤にデブリが押し寄せている。ここから急な沢身を登って行くのだが、足元が不安定なうえに、上部からの落石やブロックにも注意が必要で、なかなか大変な登りだ。2、3回休憩を入れて、ようやく稜線下のカールの底のようなところに出る。ここまで来ると安定し、落石等の危険もないので、ゆっくり昼食をとる。

芝倉沢で

 沢の源頭部にいい斜面があったので、若林さんとそこへ行って滑る。


 出合までの下りは、マチガ沢と違って適度に雪が軟らかく、気持ちよく滑れた。


 Wさんは、ゲレンデでの滑りは相当の力があるようだった。山の中ではどうか、ここ1発での力量は未知数だ。これからいい意味でのライバルになりそうだ。こういう人が身近にいないとだめだ。WLSKの時のように独りよがりしていてはだめだ。