2018年6月1日金曜日

ブラック・ツーリズム ロワール川 川越➡サン=ランベール(1)

サン=ランベールを流れるロワール川 2018年6月2日
見知らぬ土地をひとり自転車でさすらう旅にあこがれて
ライン川を源流から河口まで辿ったのは昨年のことです

期待と不安が入り混じるなか6月のスイス・アルプスからソロリと漕ぎだしました
奔流と二人三脚するように平地へ降りれば心も軽くなります

絵画のような景色の中を走る旅に陶酔し
水蒸気をたなびかす原発を眺めては何のための旅だったか思い出しました

自転車で旅しながら人々の暮らしとその暮らしを形作った出来事の軌跡を自分の目で見る
これがブラック・ツーリズムという旅の目的でした

ストラスブール、マインツ、ボン、ケルンという大都市でも道に迷うことはありません
川に沿って下っていくと天を突くカテドラルが見えそこを目指せばいつも街の中心です
自転車に乗りテントに泊り自炊しながらのシンプルでゴジャースな旅でした

デュッセルドルフを過ぎると河畔の風景は途端に単調になりました
黙々と煙をあげる工場地帯と茫々とした沼沢地

その退屈さを打ち消すようにドミニクというフランス人が現れました
彼とライン川の河口まで楽しく走り再会を約してロッテルダムで別れました

更にアムステルダムの空港まで走って成田行きの飛行機に乗りました
ライン川を源流から河口まで自転車で走る1,700㎞の旅でした
旅の目的はお釣りがくるほど十分に達成できたと実感しました

あれから一年が経ち今日はフランスへドミニクに会いに行きます
彼と一緒にロワール川を源流から河口まで自転車で走るためです

ロワール川 from wiki
ロワール川のほとりにはフランスの歴史を彩った数々の古城があります
そしてフランスの電力消費の7割を占める原発が河畔のあちこちにあります
このような正負の遺産を眺めながらのひと月ほどの自転車旅です

どんな大河も流れ出しは泉のようなものです
それが蛇行するゴルジュを抜けて広々とした平野に出ます
やがて船も上り下りするゆったりした流れになります

ロワール川の両岸にはワイン畑が広がる景色が見えるはずです
見るだけはなく飲みます
スーパーで買ってキャンプ場で飲みます

ゴールとなるロワール川の河口は北大西洋に面したサン=ナゼールです
ナチのUボート基地だった町です
海の幸に期待してます
スーパーで買ってキャンプ場で食べます

キャンプしながらの旅は気ままで楽しいです
予約しなくていいし宿泊料は一泊1,000円前後できれいなシャワーとトイレを使えます
そこでカメラやガラケーへの充電もコインランドリーでの洗濯もできます

ドミニクというフランス人とフランスを旅するのですから何の不安もありません
雨風も道連れにして行ってきます

リヨン空港に着陸するところ 2018年6月1日

6月1日午後6時すぎカラッと晴れたリヨン=サンテグジュペリ空港に着きました
そこにはドミニクが友人のジャン・ジャックと一緒に車で迎えに来てくれていました

ドミニクのルノーに自転車とパニアバッグをヒョイと乗せました
昨年はチューリッヒ空港から雷雨の中をタクシーで市内のホテルへと向かいました
何という違いでしょうか

ルノーはリヨン南郊の高速道を西へ向かって快適に走ります
炭鉱で栄えたサン=テティエンヌを経てドミニクの家まで2時間ほどのドライブでした
着いたところはロアール川に面した小さな町です
ロワール川を挟んで東側がサン=ジュスト、西側がサン=ランベールです
合併してサン=ジュスト・サン=ランベールという一つの町になりました

ドミニクの家で奧さんのマリーポールにお会いしました
夕食は3人でスモーク・サーモンのタルトをいただきました
南仏サン=トロぺのロゼを飲み、幸せな旅の第一夜が過ぎました