2019年6月9日日曜日

ブラック・ツーリズム ドナウ川 ヴァルテンドルフ⇒パッサウ

6:00 起床
日陰のまったくないキャンプ場に朝日がまともに照りつけてきます
おかげで早く目が覚めました
肌寒いのは昨日と同じです

6:20 朝食
今日は日曜日で食料が手に入らないなあなどとぼやきながら、ほんの気持ち少なめに食べます

8:10 出発
ここまで10日間走っているあいだ、必ず自転車のどこからか小さな音がしていました
その発生源はブレーキだったり、フェンダーだったり、どこかわからなかったり
今朝ブレーキを調整して、ようやくどこからも異音の出ない自転車になりました

走り出して10分ほどでもう暑くてたまらず薄着になります

今日はパッサウまで80㎞近く走る予定です
暑くならないうちに距離を稼ごうと、いつもより少しだけスピードを出して走ります
それでも時速25㎞には届きません
時速30㎞はとうてい出せません

9:30 デッゲンドルフ
ここまでオーバーペースながら快調に来ました
ここから迂回路の砂利道が多くなりハイペースは無理になりました
おまけに昨日までの追い風から一転して向かい風です
景色はいいんですが風が...

迂回の原因はドナウの堤防修理です
仕方がない
それもようやくホーフキルヒェあたりで終わりました
第一次世界大戦で亡くなった人達の慰霊碑
12:20 ヴィンドルフ
あまりいい場所ではありませんが昼食にします
強い日射と高温でとてもくたびれました
ベンチで座ったまますこしウトウト居眠りします

今日の目的地パッサウまであと20㎞です
気持ちをしゃんとさせてまた出発します

14:15 カヒレット・ダム
レンガ造りの大きな水力発電所の脇をとおって南岸へ渡ります
Kachlet dam
14:45 パッサウ
きつい走りの1日でしたが無事パッサウに着きました
ドミニクは先にテント場へ行くというので、ひとりで街中を見て歩きます
市役所前広場
対岸の崖の上にそびえるオーバーハウス要塞
レジデンツプラッツ
パッサウ大聖堂
大聖堂の中の息をのむような美しさに、目が回りそうです




パイプが一万八千本ある世界最大の教会オルガンだそうです
一昨日見てまわったレーゲンスブルクは、かつて東方への商業の拠点でした
このパッサウは東方への防備と布教の重要な拠点でした
15世紀にウィーンが勃興したため、政治経済文化の中心をそちらに譲り渡たしました

パッサウで支流がふたつドナウに流れ込みます
北からイルツ川、南からはイン川です
ドナウに合流するイン川(向こう側)
パッサウからはウィーンやブダペストに向けてたくさん船便が出ています
イン川の合流点から方向転換して下流へと向かう船が見えました

16:30 パッサウのキャンプ場
イルツ川に面した静かなキャンプ場に着きました

ドミニクはもうテントを張ってシャワーも浴びていす
街中のパン屋で買ったクロワッサンを渡すと、ありがとう、といってすぐ食べてました
わたしもシャワーを浴びてビールを飲みました
夕飯にはまだ早いのでイルツ川をながめながらドミニクとまたお話しです

テントサイトのよもやま話 その2
なんでこういう話になったのかさっぱり覚えていません

ドミニクがまだ若かったころ妻のマリーポールと北モロッコへ山旅に行ったそうです
標高が3,000メートルをこえる山々をひと月かけて歩く長旅です

出発地でロバを買い、それに荷物を載せて歩くのが通例だそうです
ドミニク達もそうすることにして、若くて元気そうなロバを買いました
鳴き声は少々頼りなげですが腹がポーンと張っています

蹄鉄をつけてもらい、いよいよ出発です
歩き出すと間もなくロバがおならをし始めました
おならをするのは不思議ではありませんがずいぶん頻繁です
様子に注意しながら歩いて行きました

それからもロバは歩きながらおならをしました
ふと見るとポーンと張っていた腹がへこんでいるように見えます
おならはその後も続きとうとうロバの腹はぺしゃんこになってしまいました
腹を膨らませていたガスがおならですっかり抜けてしまったのです

ロバはやせて一気にひ弱になりました
それでもせっかく買ったロバですから荷物を運ばせなくてはなりません

山にさしかかると岩石がむき出しの道になります
そのロバは蹄鉄をつけて歩くのが初めてでした
岩の上に乗ると足が滑るのでびくびくしています
そのうち慣れるだろうと期待しながらドミニクはロバの手綱を引いていました

その矢先、ロバは下り坂で思いきり前足を滑らせて転倒してしてしまいました
ロバは倒れたまま一段と頼りなげな声で鳴きわめいています
顔面をしたたかに地面にぶつけて前歯が一本折れています
かわいそうな、おかしいような、ドミニク達ももう泣きたい気分です

無理はさせられないとロバに載せた荷物を少しおろし、二人で分けて背負うことにしました
すると身軽になったロバは道草を食いはじめました
ドミニクが手綱を引っ張ても容易に動こうとしません
これではにっちもさっちも行きません

思案した末、マリーポールがまぐさを背中にゆわえつけてロバの前を歩くことにしました
ロバはそのまぐさにつられて前へ前へと進むという仕掛けです
これはそこそこ上手くいき、前よりも早く進めるようになりました

それにしても、と二人はまた考えました
こうまでしてロバを連れて歩く必要はあるだろうか......

二人はバカバカしくなって、村で見かけた子供たちにそのロバをあげてしまったとさ

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話の途中からわたしは笑いが止まらくなってしまいました
話しが終わったあともドミニクがロバの鳴き声を何度もまねします
そのたびにまたおかしくなって笑いが止まりません
小さなキャンプ場にロバの鳴きまねとバカ笑いがしばらくこだましていたようです
皆さんが私たちのテントの前を通り過ぎる時、含み笑いがその顔に浮かんでいました

19:00 夕食
ピザ、トマト、ゆで卵サラダ、ビール

21:00 就寝

<走行距離> 82km(累計 695㎞)
<出費> 20€(食料代 8€、キャンプ代 9.5€、ビール代 2.5€ 累計 379€)
<Passauキャンプ場の評価> ◎(場所が良く静か、施設設備良く、スタッフ感じ良し)

パッサウ⇒オッテンスハイムへ続く