2019年6月2日日曜日

ブラック・ツーリズム ドナウ川 リートリンゲン⇒ウルム

7:54
出発の準備をしているところにフランス人夫婦の男性の方がドミニクに話しかけています
わたしはもうスタンバイしてます

手作りの看板を写真に撮りました
このキャンプ場はなんか感じがよかったから

8:38
今日は日曜日で通り過ぎる町は静かです
屋根の上のシゴーニュの巣にひな鳥の姿が見えました

8:57
はじめは麦畑の中をのんびり行きますが、次第にアップダウンが多くなります
急な坂の途中に咲いていたオダマキ
9:54
時折あたりに目をやると町のたたずまいにハッとさせられます

11:41
強い日差しのもとでアップダウンを繰り返しエーインゲンに着きました
きれいな泉のまわりにサイクリストが集まっています
フランス人夫婦もやってきました
ちょっと疲れた様子です

ここで青い泉「ブラウトップフ」を見るために回り道するか、直接川沿いに行くか相談します
「川沿いは単調だよ」、とドミニクがいうので青い泉を見ていくことにします
フランス人夫婦も一緒に行きたいというので、ここから4人で走ることになりました

14:41
途中ピクニックをしてブラウボイレンの大きな修道院に着きました
ブラウトップフはこの裏手にあるそうです

堰の向こう側にある泉から大量の水があふれだしています

これがそのブラウトップフです

カルスト泉という石灰分を多く含んだ泉だそうです

16:50
今回はじめての大きな町ウルムに着きました
サイクリスト用の方向表示板も街中ではややこしくなりました

ウルムの付近にはキャンプ場が無いとのことです
実際にはボートハウス脇でキャンプができたようですがわたしたちは分かりませんでした

さてフランス人夫婦も一緒にホテルを探します
まずはドミニクが前に泊まったノイウルムのアパートへ行きましたが閉まっていました
仕方なくホテルを探して街を歩きまわります
歩くといっても荷物を前後左右に付けた自転車を押しながらなので思うにまかせません

ふらふらと歩いているとレストラン兼酒場の看板にホテルがあると書かれていました
中に入って女将さんに聞くと、ここからすぐ近くでツインルームが一泊50€とのこと
もうみんなウンウンと快諾です
宿帳も書かず現金で一人25€ずつ払いそのホテルへ行きました

ホテルの一階の扉の内側に自転車を置けるので安全です
部屋は二階で、裏のベランダにテントを干せます
共用の食事スペースがあるので明日の朝はここで食事ができます

18:05
今日は日曜日なので店が閉まっていて食料を買うことができません
街を見て歩き、夕食もとることにして4人で出かけます

街の中をドナウ川がまったりと流れています

ウルム大聖堂の尖塔は世界で一番高い(162m)とのことです
この教会は1377年に建て始めて、完成したのがなんと1890年だそうです

今日の昼に訪れたブラウトップフからの流れが家々の足元を洗っていきます





アムステルダムで見たような前傾している家
わたしが子供のときに住んでいた家は少し傾いていたので、こういう家に親しみを感じます


20:11
市役所前の広場にあるレストランで晩ご飯を食べました

コロッケみたいなやつと赤ワイン
ここらでは夕食にパンが付かないのですね
おいしかったけどちょっと物足りないです...

21:21
ほろ酔い気分で川風が吹くドナウ川を渡りホテルに帰ります

元は山ヤとしての二人
ウルムではドミニクとホテルで相部屋することになりました
二人とも相部屋することにとくに抵抗ありません
これにはいささかの説明が必要かと思います

ドミニクとは二年前にデュッセルドルフのキャンプ場で知り合いました
まだ自転車旅の経験が浅かったわたしがすぐに感じたのは、かれの勘の良さでした
それはきっと自分の今後に役立つだろうと思い、わたしはかれに同行を願い出たのでした
かれは同行を快諾してくれました
それから今まで一緒に二千キロほど旅して、ようやくその勘の中身と由来が分かってきました

自転車で何十日も旅をするには体力やルートを見定める力以外にも色々な能力が必要です
飲み水や食料を確保する工夫、キャンプ生活の知恵、お金のかからない観光地の楽しみ方...
そして旅を完遂しようとするメンタリティがこれらを根底で支えます

キャンプ場でワインを飲みながら、かれと幾晩もいろいろな話をしてきました
そしてある時ふと、かれとわたしのかなり決定的な共通点にたどりつきました
偶然ながら、二人とも青春時代を山とスキーに明け暮れたもの同志だったということです
昭和の日本ではそういう連中は山ヤ(やまや)と呼ばれていました
山ヤという言葉がうさん臭ければ、二人はアルピニストだったといってもいいでしょう
そして洋の東西はあっても、アルピニストのめざすところは同じでした
安全を確保しながら自己の能力を最大限に発揮して高みをきわめることです

時は流れ、かれもわたしも自分の限界を試すような山登りはしなくなりました
そして退職とともに長い自転車旅に自分のあらたな楽しみと可能性を見出しました
その可能性を支えるいくつかの大切な能力は過去に登山の経験を通じて獲得したものでした
共通の経験に立つかれの自転車旅にわたしが魅かれたのはむしろ当然といえるでしょう

かれと最初に相部屋したのは2017年にロッテルダムの近くで風雨に見舞われた日でした
旅のつれづれで知り合っても、同じ部屋に泊まるにはちょっと抵抗があるでしょう?
恋愛感情でもあれば別でしょうが
それがその時二人ともとくに躊躇なくツインベッドの部屋にチェックインしたのです
宿泊代は二人で60€ぐらいだったと思います

わたしが相部屋をためらわなかった理由はいくつかあります
・ホテル泊はあくまでキャンプ泊の例外であること
・ホテル代はキャンプ代と同程度の出費に抑えたいこと
・出費を抑えるためにはツインルームがお得であること
ドミニクもこれと同じ考えだったと思います

元山ヤの二人にとっては、自転車旅でのホテル泊は登山で山小屋に泊まるようなものなのです


22:00 就寝

<走行距離> 87km
<出費> 45€(食料 2€、ホテル 25€、ビール 3€、夕食 12€、ワイン 3€)
<ホテルの評価> ○(料金、サービスは普通、立地はいい)

ウルム⇒ディリンゲンへ続く