小学校の低学年の頃のある夜に父が箱入りのチョコレートを持って帰ってきました
買ってきたのか誰かに貰ったものなのかそれは記憶にありません
平たい箱の中が細かく仕切られていてそこに幾種類もチョコレートが並んでいました
それはきっと美味しかったのだと思いますがこれも覚えていません
ただ一つ覚えているのはその箱の表に印刷されていた絵です
店先のテラスにこぼれる黄色い灯光
テラスで憩う人と石畳をそぞろ歩く人
見上げる空には星が幾つも輝いている
箱の中身はあっという間になくなりました
表の絵を捨てがたくて箱をとっておきました
勉強机の脇の壁にそれをかけておき時々ながめました
その絵がゴッホの描いた「夜のカフェテラス」という作品だと知ったのはずいぶん後でした
2017年にライン川を走った帰りにアムステルダムのゴッホ美術館へ行きました
あの絵を見たかったからです
ゴッホ美術館のたくさんの収蔵品の中にあの絵はありませんでした
おかしいなと思って帰りがけに美術館の売店に立ち寄って調べました
あの絵はここではなく Kröller-Müller Museum の収蔵品であることが分かりました
Kröller-Müller Museum はライン川からそう遠くないオランダの国立公園の中にあります
前もって知っていれば2017年の旅の途中で立ち寄ることもできました
旅をする前にあれこれ調べないのでそのことを知るよしもありませんでした
それから5年たちました
今回の旅の計画をドミニクとしていた時に今度こそはあの絵を見に行こうと思いました
Kröller-Müller Museum へ行くことを旅程の最後に組み入れました
Kröller-Müller Museum へ行くにはまず国立公園の入場料を払い森の中を走って行きます
美術館は深い森の中にありました
おお私の名前のイニシャルが歓迎してくれています「夜のカフェテラス」の30㎝前に立って長いこと眺めまわしました
写真や印刷では表現できていないディテールを見つけました
絵筆でさっと描いているのにそれがじつに的確な筆づかいなのです
何気ない一筆に込められた思いを忘れない
手頃な距離にあるキャンプ場は日曜日なので受付が閉まっていました!?
仕方なくもう少し走ってこのキャンプ場まで来ました
<走行距離> 65㎞(累積1,281㎞)
<出費> 52€(累積1,017€)