2022年6月16日木曜日

ブドウ畑をめぐる自転車旅 19

モーゼル川
きょうは久しぶりの休養日なので Trier の市街をゆっくり見物します
Trier は紀元前16年にローマ人によって建設されたドイツで最も古い植民市の一つです
キャンプ場からモーゼル川を渡って旧市街に入ります

ここで『資本論』の著者であるカール・マルクスが生まれたことを昨日知りました
その生家が遺っているというのでまずそこへ行ってみました
ドミニクは入らないと言います
私は入ってみることにしました
彼はこの家にほんのわずかの間しか住んでいなかったようです
壁に彼のことがいろいろ書かれていました
見るべき物はほとんどありませんでした
この椅子でよく読書はしたようです
グローバリゼーションが席巻する現代にこの人の業績は再評価されているといいます
分断された今の世界を見て彼はどう思うでしょうか?
見終わると昼近くなったのでいちどキャンプ場へ戻ることにしました
途中でスーパーでに昼食を買おうとしたところ店は閉まっていました
今日はこのあたりでは休日のようです
仕方なく近くのマクドナルドへ行きました
ハンバーガー、チキンバーガー、サラダにフライドポテトで9.5€もしました
少し休んでから一人でふたたび市街見物に行きました

最初は Porta Nigra です
ゲルマン族の侵入を防ぐために西暦180年(!)に建てられた古い城塞の一部です

近くにとても複雑な形をしたカテドラルがありました
二つの聖堂が連続しているそうです

中へ入ってみるときれいな中庭がありました





ここはコンスタンチヌス帝が戴冠したホールです
その建物に密着してピンクの宮殿が建っています
すこし離れたところにある古代ローマの大浴場跡に行きました

だんだん近寄ってみると甲子園球場のようにでかい建物です
この大浴場が建てられたのは4世紀ですが既にその頃セメントを使っていたのですね
地上の暑さをよそに地下の迷路はひんやりしています

歩いて角をいくつか曲がると方向が分からなくなります
再び地上に戻りました




大浴場から出たところでドミニクとばったり会いました
一緒にアンフィテアトルム(円形劇場)へ行くことにしました
Trier の円形劇場は西暦100年ごろ建てられました
現存する古代ローマの円形劇場の中でも十指に入る規模を持っています

スタンドの上から眺めると楕円形のアリーナが見えます
アリーナの大きさは長さ75mで幅が50mです
アリーナの下は地下室になっています
アリーナに立つとまわりのスタンドがそそり立って見えます
スタンドには25,000から30,000人を収容で来たそうです
アリーナの下の地下室には舞台の昇降を操作する機械が置かれていました
再び地上に戻りました
ここで剣闘士競技などさまざまな見世物が行われました
今はその熱狂もなく静まり返っています
古代ローマ人が遺した数々の遺跡には確かに目を見張るものがあります
この円形劇場や大浴場それに水道橋がヨーロッパのあちこちにあります
彼らが遺した最も重要な遺産はじつは目に見えず触ることもできません
それは言語です

彼らは多くの建造物を各地に造営して現地の人に高度なローマ文化を見せつけました
現地の人々がそれにどれほど驚嘆したか想像するの簡単です
現代人でさえこれらのローマ遺跡の壮大さや緻密さに目を見張るのですから

古代ローマ人たちはラテン語を使っていました
数々の遺跡に見られる質の高いローマ文化はラテン語によって支えられていたのです
現地の人々がローマ文化を理解するにはまずラテン語を知ることが必要でした
そこで彼らの多くが自ら進んでラテン語の世界に飛び込んだのです
このため古代ローマ人は現地の人々にラテン語の使用を強いる必要がなかったと言います

このようにして広まったラテン語はその後各地で少しづつ姿を変えて定着しました
それがフランス語、イタリア語、スペイン語などのロマンス諸語です
ゲルマン諸語の英語、ドイツ語なども文法や語彙でラテン語から大きな影響を受けています

キャンプ場への帰りがけに Chop Sticks という中華料理店で夕食をテイクアウトしました
鶏チャーハンのダブルと春巻きで13€でした
いやあ Trier 楽しかった!

<走行距離> 20㎞(累計795㎞)
<出費> 47€(累計596€)