2018年4月12日木曜日

黒旅(7)-2 川内港⇒天草町大江



民宿の奥さんが言っていたとおり阿久根までの国道はいただけませんでした
歩道がないのみならず通勤ラッシュで交通量が増して皆さん運転が殺気だっています
ガードレールの向こうは東シナ海からの波が磯を洗っています

阿久根から自動車地獄とおさらばしてのんびりした海沿いの道を行きます
打って変わった平和な沿道風景です
淡いベージュ色の砂浜に打ち寄せる波の向こうにみずみずしい若緑の岬が浮かんでいます

黒之瀬戸大橋を渡ると長島です

再び国道になりました
交通量は減ったのですが国道の設計には自転車のことが全く念頭にないようです

急なアップダウンが続いたあと蔵之元港に着きました
待っていたフェリーに飛び乗り

半時間の航海で天草最南端の牛深に着きました

牛深から再び自転車に跨って峠のトンネルを抜けて河浦という町に出ました
街角の案内板に天草コレジヨ館というのがあったので行ってみることにしました
コレジヨとは宣教師育成のための高等教育機関です
ラテン語、ポルトガル語、哲学、倫理学、文学、音楽などが教えられていました
天草コレジヨ館
中に入ると男性の係の方が待ってましたとばかりに迎えてくれました
その方が説明をしてくれるそうです
「お時間はどれくらいありますか」というので「たくさんあります」と答えました
とても親切な人で30分以上も天草のキリスト教の伝来と繁栄について教えてくれました

キリスト教がどのように伝来し繁栄していったのかはとても興味深いことです
イエズス会の人たちが船に乗ってポルトガルからやって来たのですね
天草へやって来たのは1566年だそうですよ
ポルトガル船
そうして布教をはじめると多くの島民がキリスト教に改宗したそうですよ
最盛期には島民の8割がキリスト教の信者になったそうですよ

1582年には九州生まれの4人の少年が遣欧使節としてヨーロッパへ行ったそうですよ
その目的はイエズス会に対して日本布教の援助を教皇や国王からとりつけること
そして使節にヨーロッパキリスト教世界がいかに優れて繁栄しているか見せるためです
彼らは行った先々で大歓迎を受けローマ教皇やスペイン国王にも謁見したそうですよ
奥の写真に写っているのが4人の使節と引率したイエズス会の司祭です
使節は西洋の世界最先端の文物を天草のコレジヨに持ち帰りました
この印刷機を使い日本で最初の活版印刷本がつくられたのですよ
グーテンベルグ式の活版印刷機(レプリカ)
印刷されたのはキリスト教の教理や日本文化に関する本などでした

使節がヨーロッパで作ってもらった洋服です

使節は西洋楽器を持ち帰り聚楽第で秀吉に演奏して聞かせましたそうですよ

わたしが最も感動したのはこの竹のパイプオルガンです
これを使いミサをしたそうですよ
いい音がしました

天草コレジヨ館で得たわずかの知識をもとにこれからこの旅の中で日本におけるキリスト教のその後の展開について知ることができるでしょう

崎津教会に立ち寄ってから大江の民宿に着きました

本日の走行距離:80㎞