1971年5月30日日曜日

水無川本谷

5月29日
行きたかった水無川本谷へ一人で行くことにしました

土曜日の授業を終えてから学校を出発しました

天気は上々です


大倉に着くと少し雲がたれ下がってきました

それが気になったので戸川林道を急いで歩いて水無川本谷の出合でひと息つきました


F1までのゴーロ歩きが長く感じられました

沢に入っている人が2、3人います


F1に着いた頃からガスが出始めてきました

沢全体がとても陰気です

F2、F3を難なくパスしてさらにゴーロをつめます


ここまであまりにあせって歩いてきたので疲れました

適当な場所を見つけてツエルトを張ります

雨まじりになってきました


16時30分ころに寝ましたが1時間おきに目が覚めてしまいます

雨足が強くなりツエルトの天井からポタポタとしずくが落ちだしたので折り畳み傘をさしました


5月30日

翌朝は5時に起床しました

シュラフもなにもかもびしょ濡れです

かまわずパッキングをして出発しました


沖の源次郎沢、木ノ又大日沢の出合を過ぎて傾斜の増した沢を登ります

とても疲れたのでガレ場の草付きでひと休みしました

ここで踏み跡をみつけたので右にトラバースしていくと大日沢のあたりまで行ってしまいました

もとの踏み跡へ戻り見えない表尾根の稜線を目指して笹の中の細々とした踏み跡をたどりました

ひどい笹薮を漕ぐように進みます

さらに藪が密生してきたので這うようにして進みようやく表尾根に飛び出しました


びしょ濡れの体を引きずるようにしてヤビツ峠の方へ歩いて行きました

何時だろうと左手に目をやると父から高校の入学祝いに貰った腕時計がありません

大変だ、と思いいま来た道をあわてて探しに戻りました

笹藪の中を20分くらい這いまわりようやく落ち葉のあいだに隠れていた時計を見つけました


時計が見つかったことに気を良くして、ヤビツ峠には下らずに塔ノ岳まで登ることにしました

山頂の尊仏山荘に入って熱いほうじ茶を何杯も飲み、馬鹿尾根を大倉へ下りました