1982年8月11日水曜日

剣岳

 TSMCには「合同」というシステムの山行が年に数回ある。これはいわゆる「合宿」に近い山行形態である。しかしその根本精神は、合同と合宿では大いに異なる。合同は、参加者個々の主体性を尊重した山行の集合体である。個々がやりたい山登りを寄せ集めて、統一性のある山行に組み立てる、という点が集団での同一行動を前提とした合宿とは異なる。

 とは言っても、個々に違う好みを全部実現しようとすれば、行先がばらばらになってしまう。これではもし山行中に遭難が起きた場合、会として救助体制をとることが困難になる。会員が遭難した場合、会が自力で救助することをTSMCは原則にしている。この原則を守るために、個人山行を集めた合同という形式の山行をTSMCは行っているのだ。


 現在、合同は年間4回(年末年始、GW、夏山、冬富士)と定められている。冬山シーズンへのからだ慣らしを目的とした冬富士合宿を除いては、サラリーマンが休みを取りやすい時期に設定している。このような時期には、会員の多くが山へ行くが、その山域を決め、皆でそこへ行こう、というのが合同山行である。


 わたしがこの合同山行に参加するのは、今回が2回目である。1回目はGWに雨にたたられ、またリーダーシップ不在の印象が強かった。


 わたしがTSMCに入会した目的は、山スキーを本格的にやるためであった。無雪期のことは特に考えていなかったが、沢登りや岩登りもできることは歓迎だった。先月は、黒部川の上ノ廊下を遡行でき、思わぬ大収穫だった。ひとりで、あるいは仲間うちで細々と山登りをしていたのでは、とてもこんな機会は持てなかっただろう。そう思うとTSMCに入会できてありがたかった。


 6、7月は岩登りのゲレンデへも何回か行き、フリークライミングにも目覚めた。高校の山岳部で遊びがてら石垣を登るトレーニングをしていたので、フリークライミングの基本はマスターしていたから違和感がなかった。


8月13日

八ツ峰六峰Cフェース剣稜会ルート(2級、Ⅲ) FM

8月14日

八ツ峰六峰Aフェース中大ルート(3級、Ⅳ+、A0) OY

八ツ峰六峰Aフェース魚津高ルート(3級下、Ⅲ+) OY、OH

岩はしっかりした花崗岩で気持ち良かった。

下山は集中豪雨の中を佐藤仁と欅平へ下った。途中阿曽原では温泉に入れて気持ちが良かった。夜近くのテントがふたつ連続で火事になり丸焼けになったのは驚いた。

富山に下山して、飲み屋で打ち上げをやって楽しかった。