平ヶ岳 2,141m |
平ヶ岳は越後と会津の山々の奥にあるので麓から見ることができません
そのため信仰の対象にもなりませんでした
この山のことが登山家に知られるようになったのは今から100年ほど前のことです
交通機関が発達した現在では山々へのアプローチは昔よりずっと便利になりました
それにもかかわらず平ヶ岳はいぜんとして登山者があまり行かない山です
なぜでしょうか?
それはこの山に登るためにはツアーのようなものに参加する必要があるためです
今回そのツアーのようなものに参加して平ヶ岳に登ってきました
まず登山の前夜は登山口から30㎞以上も離れた宿泊施設に泊まります
そんなに遠くにあるのですがそこが最も近くにある宿泊施設です
その晩は十数人の宿泊客がいて中に数名の釣り人が混じっていました
15時にチェックインして近くの日帰り温泉で汗を流してくると早くも17時半から夕食です
大広間に宿泊者全員が集まって岩魚の塩焼きなどをいただきました
食事の途中に宿のご主人から平ヶ岳登山についてのプレゼンがありました
明朝は朝4時にマイクロバスで出発して登山口に向かう
朝食は宿が用意した握り飯を各自持っていき自分が食べたい時に食べる
登山口に5時20分には到着しそれぞれ登山を開始する
山頂の往復には登り3時間半と下りに2時間半ほどかかる
山頂近くに一部雪が残っているので登りは姫の池経由で行くことが望ましい
帰りのバスは登山口を12時半に出発するので遅れないように戻ること
2013年の夏に帰りのバスが夕立につかまったことがあったそうです
林道の途中の沢から出水でバスが林道を戻れなくなりました
工事中のユンボが救出に来てくれ一人ずつユンボのバケットに乗って流れを越えたそうです
そのほか明日の天気予報や山から見える景色などについて説明がありました
最後に私の連れが熊に遭遇する危険はないか質問しました
こたえは熊は人間が来るのを察知して自分から身を隠すから大丈夫だろうとのこと
万一熊と遭ってしまったら静かに後ずさりする
襲ってきたら下へ向かって走って逃げる
熊鈴は何の役にもたたないとのこと
食事を終えて部屋に戻るとまだ7時ごろでしたが歯を磨いてすぐに寝ました
さて当日です
まだ暗い中を全員が時間通りに玄関の前に集まりました
宿の主人が運転するマイクロバスに乗車して宿を出発しました
皆さん押し黙ってバスに揺られていました
私は握り飯を美味しく食べました
バスは奥只見湖に沿って進み中ノ岐林道の入り口に着きました
そこは鎖が施錠されさらに鉄製のゲートが道を塞いでいます
宿の主人はこれらを開けてバスを林道へと進めていきました
驚いたことに林道わきの河原には巨大な雪塊がまだいくつも残っています
今年は例年にない大雪だったそうです
林道の途中で釣り人達を降ろしてバスは定刻通り登山口に着きました
登山口には簡易トイレが3つと駐車場と思しき広場があります
広場にはパイプ管で作った屋根の下に長ベンチがあり出発の準備ができます
その横に虫よけネットの張られたスペースがありここで宿の主人は皆の帰りを待ちます
大抵の人がトイレを済まし準備のできた人たちから出発します
私たちはこれといった準備もないのですぐに歩き出しました
主人が熊除けのロケット花火を一発撃ちあげました
空には上がらずに右側の藪に飛び込んでしまいましたが派手な爆発音は谷に木霊しました
沢を渡るとすぐに急登になりました
宿の主人の話ではこれが2時間半ほど続くということでした
足許を見ながらゆっくり上りました
一時間ほど登ると木々の背丈が低くなり谷を隔てて遠くの山が見えだしました
パーティーによって歩くペースが違います
ところどころで前後しましたが結局私たちが先頭で急登を登り切りました
風にたなびく草原の向こうに山々が見えました
そこから玉子石へ行きますふだんは寄り道を好まないのですが今日は時間に余裕があるので行ってみます
玉子石 |
宿の主人が危険なところの雪はだいぶ消えていてもう危険な状態ではなくなっていました
姫ノ池は池ノ岳の山頂に広がる池塘群です昨夜までの雨で溜まった水が風に波立っています
姫ノ池から平ヶ岳の山頂まではいばらく背の低い針葉樹林帯を行きますそこを抜けると草地が山頂まで続いています
一等三角点が置かれた山頂自体は針葉樹に囲まれていて視界がありません山頂付近からは遠くの山々が見渡せました時間があるのでゆっくり景色を眺め行動食を食べ昼寝をしました
登山口には宿の主人と私たちよりも先に着いた人がひとりいました帰りは膝ががくがくする下りの連続です
それでも帰りは背にしていて気がつかなかった景色に気持ちが和みました
登山口の少し手前でヒカリゴケが見られるというので行ってみました主人は熱中症予防だといってキュウリの浅漬けをふるまってくれました
それとは別にビールを販売していたので下山祝いに飲みました
最後のメンバーがバスの出発予定時刻ちょうどに降りてきました
そしてバスでまた1時間半かけて宿に戻りました
すると宿のおかみさんがつめたく冷やしたスイカを私たちにご馳走してくれました
こうして私たちの平ヶ岳登山は楽しく無事に終わりました