1987年9月19日土曜日

一ノ倉沢南稜

 一ノ倉沢とは相性が良くない。これまで3回登りに来て、いずれも悪天のため登攀を中止している。今回も初日はしっかりと雨で登れなかった。一ノ倉沢出合のジメジメとした避難小屋で1日過ごす。

翌日は天気がもちそうなので出かける。沢を登って行くと、後から数パーティーが登ってくる。狭いところで登る順番を待っていると、人にぶつかっておいて、何も言わずに過ぎていく連中もいた。テールリッジの最後は犠牲者が多く出ている所なので、慎重に通過する。

烏帽子スラブから頭上を見上げると、登攀を予定していた2ルンゼにはすでに取付いているパーティーがいる。そこで、わたしたちは、誰も登っていない南稜へ行くことにする。ツルベで登り、最後の細かいフェースは阿部ちゃんがリードして終了する。ただここからも草付帯、岩溝帯がつづいてアンザイレンしたままだ。烏帽子岩の上部に出て、5ルンゼの頭を経由して一ノ倉岳に出る。

一ノ倉岳からは中芝新道を経由して下山する。途中芝倉沢に向い左へ下っていく辺りから踏み跡が不明瞭だった。先行パーティーがいなかったら厄介だっただろう。芝倉沢の出合に出て、あとは林道をあるく。くたびれた。