1980年5月3日土曜日

谷川岳

 山は厳しい、そして本当は優しいものだと思う。

5月3日

 早朝の混んだ「佐渡1号」に乗りで水上に着く。


 タクシー2台に分乗して、天神平まで登るロープウェー乗り場に行く。乗り場にはすでに行列ができていた。天神平でリフトを行列して待つのが嫌なの歩いて登ることにした。さっさと歩いて西黒尾根に取り付く。雪の消えかかった歩きにくい灌木帯を抜けて尾根に出たところで、残雪量の多さに驚く。森林限界の手前で一服する。


 天神平に案の定リフト待ちの行列が見える。


 森林限界から尾根は狭くなり、岩場も出てきて歩きづらくなる。それも憬雪小屋跡までで、そこからは歩きやすくなる。体調がよく、ほいほいと登り山頂に着いた。


 山頂からの滑降は、まず西黒尾根の上部に出て、天神尾根の大斜面をミドルターンの繰り返しで一気に滑り降りる。下から見ると、シュプールがきれいに残っていた。そこから天神平まで、スキーを着けたまま行く。


5月4日

 天気予報がいいほうにはずれ快晴の朝を迎え、喜びいさんで出かける。


 朝一番のロープウェーに乗って天神平に登り、昼前までゲレンデで滑る。それから男性7人で谷川岳から滑降しに行く。


 途中、小ピークを右から巻くところでSがステップを踏み外して3mほど転落した。運よくブッシュ下の雪の切れ目で停止し、事なきを得た。そのあとYが転倒を繰り返し、体力を大いに消耗した。岩場が見えているピークでは、スキーをリレーで渡したあと空身で簡単に越えた。そこまで比較的順調に行ったが、熊穴沢の避難小屋のところでYがバテ、足に靴が当たって痛いと言い出す。Yは休みたがったがわたしはこれを認めず、1時間半ほどかかって天神尾根の大斜面の下に着いた。


 Yを除き、みんなせいせいとした顔をしている。十分に休んでから、スキーを担いで山頂へ向かう。そこからはYもなんとか着いてきて、みんなで山頂からの眺めを楽しんだ。


 大斜面の滑りは昨日よりも体が遅れず、落ち着いて一層良く滑れた。みんなも大満足の様子だった。結局みんなで登って良かったのだと思う。