早朝信濃大町駅に着き、そこで早大山岳部OBの竹中昇さんに会う。彼は、神城山荘のとなりのまほろば山荘の小屋番をしていたので、顔見知りだった。扇沢周辺の残雪が多いのでびっくりしていた。今年は例年よりかなり雪解けが遅いようだ。黒四ダムの堰堤を歩きながら、竹中さんは生き生きと話をしてくれた。
室堂のホテルでコーヒーを1杯飲み、雷鳥沢まで一緒に行った。竹中さんはこの冬に行方不明になった現役の早大山岳部員の捜索のため、室堂乗越から立山川に向かうという。
かんかん照りなのですごい日焼けになるだろう。重荷にあえぎながら雷鳥沢を登る。別山乗越は風が強い。荷物の半分を剣御前小屋に預け、剣沢をスキーで下る。別山平も非常に風が強く、去年の冬富士を思い出す。
荷物を別山平において、剣沢を登り返し、剣御前小屋で預けた荷物を受け取る。今度は剣御前のほうにトラバースして、別山平にまっすぐ滑降を試みたが、疲れていてあまり良い滑りはできなかった。強風に逆らって難儀してテント立てていると、近くの人が手伝ってくれた。風にあおられて寝る。
5月27日
遅い朝食のあと、スキーと昼飯を持って出かける。剣沢を真砂沢の出会いまで下ったが、あっという間であった。日差しが強く、顔や首筋がびりびり焼けていくのがわかる。
次に平蔵谷を滑ることにして、剣沢を登り返す。長次郎谷の出合から、谷を登っている人が見える。平蔵谷をつめ、稜線の避難小屋に着いた頃には、もうあたりにはガスがまいていた。剣岳の山頂までスキー靴で往復する。のどが渇いて山頂の祠に供えてあったメロンを食べてしまった。平蔵谷を滑降するときには、モヤで谷が全然見下ろせなくなっていた。滑降を始めると間もなくガスから抜け、気持ちよくシュプールを刻みながら下降した。
剣沢の出会いで別山平方向にトラバースし終わったところで、頭上から車ほどの大きさのブロックが落下してきて、すぐ背後で砕けた。肝が冷えた。
別山平で |
5月28日
雷鳥沢までMさんを迎えに行く。またまた天気が良い。剣沢を2本滑った。
5月29日
昨夜から雨が降り出し、夜半に霙から雪に変わって、朝までに30㎝ほど積もってしまった。もうすぐ6月になるというのに、春は恐ろしい。テントでゴロゴロしながら、ヨーロッパアルプスの登山についてMさんと話し合った。
5月30日
天候回復の見込みがないので、下山する。剣沢はガスが立ち込め10m先が見えない。勘に頼って別山乗越を目指す。すると文部省のリーダー研修会のパーティーが通りかかってアドバイスを受けることができた。寒さと強風でエビのしっぽができている。ガスが取り巻く中、雷鳥沢をスキーで下ると、船酔いのような気分になった。室堂で