1987年3月21日土曜日

守門岳

 行ったことのない山への計画は慎重にたてる。初めて一緒に山へ行くメンバーが加わっていれば尚更である。

3月21日

 前夜上野発の夜行列車小出スキー号に乗り、翌朝小出駅に降り立った。駅前に出ると、積雪が驚くほど少ない。山には雪があるだろうか不安になる。しかし豪雪地帯にある守門岳なら大丈夫と思い返す。暖冬だと知っていたから守門岳を選んだのだ。


 小出から只見線のディーゼルカーに乗り大白川駅で降りる。駅前の道路は完全除雪されており、大原スキー場までは歩いて小1時間だという。ブラブラと歩いて行くと白銀に輝く守門岳が見えた。意外な近さにロングランはできそうもないなとちょっとがっかりする。


 大原スキー場はまだ営業時間前で静まり返っていた。ロッジに入って朝食をとっていると、ロッジの人が親切にお茶を出してくれた。


 リフトが動きだしたので乗りゲレンデの最高地点(650M)まで登る。そこでスキーにシールをつけて登りにかかる。TとTはツボ足で登る。日差しが強く雪面がたちまち柔らかくなり、ツボ足はきつくなる。藤平山から守門岳に向かう主稜線に取り付く手前は急斜面でスキー登行が難しかった。


 主稜線はなだらかで幕営適地になっている。風のいたずらでできたくぼ地にテントを張る。身軽になって山頂を目指した。新人は快調にどんどん登って行った。あとのメンバーはバラバラになってほどなく山頂に着いた。


 守門岳は標高1,537Mしかないが、山頂からの眺めは来たことの無い地域だったので興味深かった。風が強いので早々に滑降にかかる。主稜線は滑って楽しい地形ではないので、わざと沢身を下って滑りを楽しみ、また主稜線に登り返した。そこからテント場へは、幅の広い尾根を、あっという間の滑降である。


 テント場へ戻ってからも春の日はまだ高く、もうひと滑りしてから夕食の準備にかかった。


3月22日

 今日も良い天気だ。きのうおいしそうに見えた青雲岳から派生する尾根に滑りに行った。


 守門岳山頂へ向かう尾根の途中から左にトラバースし青雲岳に出る。滑ってみると、斜面の傾斜は丁度いいのだが、雪が腐っていて滑りづらい。残念ながら快走とはいかなかった。

 テント場に戻り、撤収して、主稜線を藤平山方向へ下る。あちらこちらヤブが出ている。池へ下るためコルから滑り降りると、方々から表層雪崩が出て気味が悪かった。そこからは山道を下り、最後はフキノトウが顔を出した田んぼに降りた。越後は春の真っ盛り。春の陽が降り注ぐ舗装道路を、1時間歩いて入広瀬の駅に着いた。