新宿駅を23時45分に出発する急行「アルプス」で信濃大町へと向かう。新宿駅の待ち合わせホームで、小中学校時代の同級生のYに偶然会った。彼の家はクリーニング店で、小学校の時は時々遊んだことがあった。神奈川大学のワンダーフォーゲル部の合宿で、これから穂高岳へ行くということ。思わぬ人が同好の士であった。
6月7日
大町に着くなり天候悪化の兆し。扇沢までバスで行き、観光客のおばちゃんが行きかう中で朝食をとる。そうしていると、扇沢ロッジに泊まっていた人たちがグループで針の木沢方面に出発するので気がせく。
8時頃出発し、工事でとても歩きにくい仮の道を行く。工事道路と別れると、歩きやすい良い道になった。ブナの林を抜け何度か沢を渡りかえすと、大沢小屋に着いた。思ったよりも遠かった。小屋は閉まっていた。沢に出てから休むことにして、なおも歩いたが、途中で分かれてしまい、少しもたついた。
9時頃落ち合って、雪渓の上で少し休む。このあたりの雪渓の上には、木くずや小石がいっぱい散らばっているので、とてもここまでは滑り降りて来れないだろう。雪渓の上部を20人ほどの大パーティーが登っている。ノドまではここから直上するが、ノドの先で沢は左に曲がるので、針ノ木峠は見えない。
わたしは雪の上を歩くのが好きだ。同行はYとKだが、Kは汗をびっしょりかいて苦しそうである。ノドの手前で一度休み、マヤクボ沢の合流点でもう一度休んだ。1人スキーで滑り降りてきた。
針ノ木峠に着いた頃には雲も低く垂れこめて、雨がポツポツ降ってきた。昼飯をゆっくり食べて、昼寝をし、スキーで遊んだ。峠から雪渓が狭まるところまで、標高差200mくらいを2本滑る。それから針ノ木岳の山頂を往復した。
帰りは下までなるべく長い距離を続けて滑るようにした。遊びで空身で滑った時よりも、荷物を背負って滑った時の方が調子が良かった。登山道の100mくらい手前のところまで滑り続けた。
今度ここに春スキーに来る機会があったら、針ノ木岳とスバリ岳のコルから針ノ木雪渓に滑り降りてみたい。