1977年4月23日土曜日

谷川岳

 今年の2月に行った谷川岳スキー登山の素晴らしさが忘れられず、またやって来た。

 例によって、上野発22時17分の長岡行に乗る。土合駅で下車し、長い階段を小走りに登る。これから駅の待合室で仮眠するのだが、早くいかないと狭い待合室は寝るスペースがなくなる。


 翌朝は6時半ごろ駅を歩いて出発する。マチガ沢から厳剛新道を経て西黒尾根に取り付く。天気はまあまあで、ルートは踏み跡も明瞭である。快調に登って谷川岳山頂に着く。2月は一面真っ白だったが、今は稜線上にハイ松がずいぶん出ている。


 天気が悪くなってきて、一ノ倉岳の手前あたりからポツポツと降ってきた。ハイ松と残雪の間に入って昼食ととる。しかし天気のことが気になっておいしくない。気を取り直して出発し、登りはじめると一ノ倉岳の頂上はすぐだった。


 2人連れが芝倉沢を滑り下っていった。わたしはまだ稜線伝いに滑っていく。茂倉岳への登り返しではいったんスキーを担ぐ。このあたりでは、昨夜の睡眠不足がたたって眠かった。茂倉岳からまたスキーで少し下ったところに気持ちのよさそうな熊笹の原があったので、そこで少しうたた寝をした。

茂倉岳の下で 1977年4月23日

 ふたたび歩き出し、蓬峠に着いた頃には雲はきれいに晴れあがっていた。稜線をわたる風に、熊笹が気持ち良さそうに波打っている。


 蓬沢を振り子のように滑り下り、傾斜が落ちてからもさらに雪が無くなるぎりぎりのところまで滑る。スキーをはずしたあたりにはフキノトウが出ていた。スキーを担いて歩き出すと、どっと疲れが出て、土樽駅までが遠く感じられた。