2017年10月4日水曜日

黒旅(6)-8 知覧⇒鹿児島

今日は最終日で鹿児島までわずか35キロの走行です
知覧から手蓑峠までは緩い登りが続きます
峠まで知覧茶の畑がありました

手蓑峠
峠からは錦江湾に向かって標高差300m以上のダウンヒルです
志布志の民宿のおじさんがブレーキを調整してくれたおかげで安心して下れます

坂の下で国道に出てあとは平坦な道を鹿児島へと北上します
建物も交通量も増えてもう旅をしている気分がわずかしか残っていません
道路沿いのヤシの木が南国のなごりをとどめています

鹿児島中央駅の近くのヤマト運輸で自転車を自宅へ送ります
身軽になり早速駅前の店で無事到着の乾杯です
〆鯖とちりめんじゃこ丼を食べました
安くて美味しかった

これから仙厳園へ行きます
知覧の武家屋敷庭園は母ケ岳という山を借景にしていました
仙厳園はダイナミックに桜島と錦江湾を借りています

仙厳園から望む桜島と錦江湾
かと思うと曲水の庭や望岳楼という凝った作りのものがあります

曲水の庭
望岳楼


屋根が錫の板で出来ている朱色の門もあります


庭全体をひとつのポリシーで統一するのではなく珍しいものを集めたという感じです

仙厳園のとなりには反射炉の跡があります

反射炉跡
ここで大砲を作りそれを使って目の前の浜でイギリス軍と戦ったのです


だから前の浜の戦(いくさ)ともいうそうですよ
磯海水浴場から見た桜島
そのとなりの尚古集成館ではイギリス人技師の指導で紡績に取り組みました
尚古集成館
幕末から明治にかけて薩摩の人や物が日本をリードしていきました
その成果を誇らしく思うのはいいとしましょう

忘れてはいけないのはそれを支えた富がどこから来たかということです
琉球や奄美を含め領民全体が必死の努力をしたからこそ可能だったのではないでしょうか
そういうこともわかるような展示もしてもらえたらありがたいなあと思いました

小さな町の歴史資料館だと係の人と話しながら見ることもできます
大きな町の大きな施設だとそういう事はまず無理ですね
展示を眺めるだけでなく人から話しを聞くのが楽しいしその町を良く理解出来るような気がします

では来春の黒旅までさようなら


本日の走行距離:35㎞

黒旅(6)阿蘇⇒鹿児島 走行距離:510㎞

黒旅(1)~(6)走行距離:1,958㎞

つづく

2017年10月3日火曜日

黒旅(6)-7 開聞⇒知覧

開聞の民宿でもおじさんに焼酎を勧められ連夜の痛飲と相成りました
焼酎は無料ですと言われたら飲まない訳にはいかないでしょう
ビールや日本酒は有料なのに不思議です
不思議大歓迎です

8時半に民宿の方に見送られて出発します
足が重いです

せびら自然公園から枕崎方向を眺めました
知覧への道ははじめアップダウンがきつく次いでだらだらした登りです
どちらも足に応えます

開聞岳が見えました

知覧茶の茶畑が広がりだしました

青戸(まのひ)の茶畑

くたびれたので茶の直売所で一休みします
なにげに掲示を見ているとトーチカという文字が目に入りました


なに?
トーチカ!
さっそく辺りを走り回りトーチカを探しましたが見つかりません
茶畑で作業をしているおばさんに聞いてみました
「トーカチならあっちにある」と指をさして教えてくれました
トーカチではなくトーチカですが気にしません

ありました
草の中です

こちらは道路沿い
茶畑のとなりです


案内板にはこのトーチカは製作途中だったとあります
それにしても作りが雑な気がします


中に入ってみました


怖いです


トーチカから一走りで知覧特攻平和会館に着きました


会館の展示を見終わって思いました
ここには特攻隊員となった若者たちの悲壮な気持ちがあります
隊員の親御さんたちが隊員の死を悼む気持ちがあります
そして出撃地となった知覧の人たちの無念の思いがあります

ここにないのは誰がどのようにして特攻を発案しそれが日本軍の作戦として採用され実行されていったのかという説明です

昼ご飯を食べたあと武家屋敷へ行きました
知覧は薩摩藩に100以上あった「麓(ふもと)」と呼ばれる外城のひとつです
その武家屋敷にはすばらしい庭園がたくさんあります

知覧武家屋敷の町並み
限られた敷地の中に枯山水の庭をしつらえています
西郷恵一郎庭園
地面はシラス、岩が置かれ、広葉樹が立ち上がっています
平山克己庭園
面白い形の岩石を組み合わせて深遠な景色を見せているところもあります
佐多美舟庭園
背景の母ケ岳を取り入れて雄大さを見せているところもあります
平山亮一庭園
武家さん達はこのようにして楽しんだのですね
佐多民子庭園
これらの武家屋敷のうち空き家になっているのは一軒だけです
あとの家には人が住んでいて庭の手入れも自前でしているそうです

この地方独特の茅葺民家も復元されています
二ツ家
今日は30キロも走っていませんが知覧で泊まります
天然温泉のある安宿がみつかりました

夕飯は外に出て「といのずし」を食べました
鶏の雑炊ですね
美味しかったです

本日の走行距離:26㎞

2017年10月2日月曜日

黒旅(6)-6 志布志⇒開聞

志布志の民宿のご主人が出しなにわたしの自転車のブレーキを調整してくれました
ブレーキが甘かったんですね
ご主人は自動車整備工場を営んでいたのです
たとえ人の自転車でも整備不良は放って置けないのでしょう
ブレーキの利きがバッチリになりました

ご主人にに見送られて民宿を出発します
ちょっと走って振り返るとまだ見送ってくれています
手を振ります
もうしばらく行って振り返るとまだ見送ってくれています
また手を振ります
いよいよ見えなくなりました

今日は鹿屋市吾平(あいら)にある小鹿酒造に見学に行きます
普段飲んでいるCOOPの黒しぶきという芋焼酎が実際にどのように作られているのか見て見て見たかったのです
少し「見」が多かったでしょうか
気持ちの現れということでお許しください

ブレーキの件があったので予約時間よりちょっと遅れて小鹿酒造に着きました


焼酎好きが体からほとばしっているような男の方が迎えてくれました
わたしの自転車をひと目見てランドナーとわかる自転車好きの方です
なんかラッキーという感じです

見学の前に芋焼酎についてのお話しを聞きました
芋焼酎の製造は芋の収穫期である9月から11月までのシーズン作業です
今がその最盛期です
貯蔵して傷んだ芋ではいい焼酎が出来ないのです

焼酎の美味しい飲み方、焼酎が血をサラサラにするという効果、小鹿酒造の創業や名前の由来など面白い話しをたくさん伺いました

さて見学です

農家からトラックで運ばれてきた芋は巨大なV字状の金属容器に入れられます
芋は黄金千貫という白っぽいさつまいもです
容器の下のベルトコンベアーで芋が運ばれて洗われ端っこが切り落とされます
皮はなるべく削らないようにします
皮のすぐしたに焼酎の風味を決める成分があるからです

きれいになった芋はさらにベルトコンベアーで屋内に運ばれます
そこにはキレキレの包丁を手にした女の人たちがいます
傷んだ芋が流れてくるやそれを掴みとって傷んだ部位を包丁で切って取り除くのです
この芋を蒸して砕いたあと一次もろみと合わせると二次もろみが出来ます

一次もろみは国産の加工米を蒸したあと酵母と水を加えて四、五日寝かすと出来ます

二次もろみを10日寝かすと15.5度の原酒(と言うんでしょうか)になります

これを蒸留すると38度のツンとしてピリッとした焼酎になります
これを巨大なタンクに貯蔵して最低2ヶ月熟成させます
ビンやパックに詰める前に水で薄めて度数を調整します

毎日30トンの芋が契約農家から運ばれて来てそれをその日のうちにすべて仕込みます
これが一升ビンで1万5千本分の焼酎になります!

以上のような製造方法は50年ほど前から変わっていないそうです

工場の中は蒸した芋のいい薫りがします
結構暑くて案内の方は汗だくになっていました

前割り小鹿のペットボトル入りをおみやげにいただいて見学を終わりました
1時間半もお邪魔してしまいました
ありがとうございました

これからも頑張って黒しぶきを飲もうと心に誓いました

吾平から鹿児島湾に出ると北の方に桜島が煙を上げています
ここから海沿い南下します
アップダウンがあります
とりわけ長い坂を上ると「峠」というバス停がありました
海岸沿いなのに...

かなりくたびれて根占(ねじめ)港に着きました
ちょうど指宿行きの高速船が出るところだったので飛び乗りました

今年3月に就航したばかりの「なんきゅう10号」

乗船客は私一人です
あっという間に指宿に着き高速船を降りて西に向かって走ります
開聞(かいもん)岳がどんどん近くなってきます
山頂が雲に覆われています高校生の時にこの山に登った日と同じような天気です

JR西大山駅から見た開聞岳
開聞岳の登山口にある民宿に泊まります

本日の走行距離:71㎞

2017年10月1日日曜日

黒旅(6)-5 青島⇒志布志

日の出を見に青島へ行きました


鬼の洗濯板の向こうから素敵な朝日が昇ってきました


いいですね


今日は日南の海岸を走ります
小さな入江で彼女にサーフィンを手解きしている人がいました

日南市宮浦
いいですね

南国らしい海岸線が続きます


海風が気持ちよい


空が秋です


飫肥という町があります
ここは伝建地区のある町です

飫肥の武家屋敷の町並み

武家屋敷 旧伊東伝左衛門家
飫肥は小村寿太郎の生まれた町です
吉村昭の「ポーツマスの旗」にいたく感動しました
その彼のふるさとです
彼はこの城下町で生まれポーツマスまで至ったのです

小村寿太郎の生家
飫肥から志布志までは結構距離があります

参道をクロスする日南線
志布志では素敵な民宿に泊まることができました

本日の走行距離:104㎞

2017年9月30日土曜日

黒旅(6)-4 門川⇒青島

今日は青島まで100キロ以上走る予定です
なので普段より少し気持ちを整えて出発します
大事なのはスピードよりもペースです

道幅の狭い国道を用心して走ります
特に狭いところは躊躇なく歩道を走ります

振り返りサーフィンポイントの金ヶ浜を眺めます
伝建地区のある美々津に着きました
こぢんまりした港町です


いつものように先ず資料館にお邪魔します

廻船問屋河内屋(日向市歴史民俗資料館)
受付の女性が「ご案内しましょうか」というのでもちろんお願いしました
それが楽しみで旅しているようなものですから

美々津は神武天皇が船出したと伝えられまた高鍋藩の秋月氏が参勤交代の時に使っていた港でした
そんなこんなでここの伝建地区の特色は背負った歴史の重さです

河内屋の中庭
資料館の建物はもとは美々津を代表する羽振りのよい廻船問屋でした
それにしては建物内の意匠が地味だと感じました
欄間は無いし天井はすべて板張りです

船底天井
神話や大名のことを気にして質素にしたのかなと想像します

案内の方はこの仕事を始めて間もないそうです
ぎこちなさの中にも郷土のことをよく知ってもらいたいという気持ちが伝わってきました

箱階段
美々津から海岸に沿って南下します
役目を終えたリニア実験線の上に太陽光パネルが並んでいます
こういう粘りは見習いたいですね

世界でも稀な細長いメガソーラーだそうです
川南の漁港に大漁旗が揺れていました
大きな伊勢海老を真っ二つにして焼いて売っています
とても美味しそうですがきのう鮎を食べたばかりなので我慢します
そのかわり各種の魚の揚げ物と牛乳500㏄で栄養は十分とりました

佐土原から一ツ葉有料道路を走ります
料金20円のすばらしい自転車道です
宮崎市街の喧騒を回避して南国気分に浸れます

一ッ葉有料道路
有料道路が終わり国道を少し行ったところが青島です
4時半に青島に着きました
鬼の洗濯板へは明日行くことにします
今日は民宿でリラックスです

本日の走行距離:101㎞