2022年5月31日火曜日

ブドウ畑をめぐる自転車旅 3

昨夜寝る時にドミニクが「明朝は何時まで寝ててもいいよ」と声を掛けてくれました
それでも6時半には目がぱっちり覚めてしまいました
窓を開け放つと見覚えのある庭が広がっていてピンクのバラが咲いていました
シャワーを浴びているうちに朝食の用意ができていました
お土産のほうじ茶にバゲット、ジャム、チーズ、バター、ヨーグルトです

食べ終えてから庭で自転車を組み立てました
分解箱詰めには1時間半はかかりますが組み立ては30分ほどで終わります

それからドミニクと旅行日程を相談しました
ブルゴーニュ、アルザス、モーゼルの順に回ることは地理上疑問の余地はありません

それぞれの地域の出発地点と終了地点が問題になります
どこを自転車で走りどこを鉄道で移動するかに関わるからです

まずブルゴーニュは当初は Pray-le-Monial から出発しようとしていました
前にロワール川へ行ったときにそこでキャンプしたからです
そこからスタートすれば EuroVelo 6 の未走行区間を埋められるだろうという配慮です
でもこれはやめました
全体の日程が膨らまないように各地域の走行はできるだけ絞り込んだ方がいいからです

ブルゴーニュは Montceau-les-Mines を出発地にすることにしました
そこから Besançon までの走行距離は 260㎞ ぐらいです
この距離は地図で概算したもので実際はこの1.2倍から1.5倍を走ることになります
寄り道したり、買い物したり、道に迷ったり、キャンプ場を探したりなどするからです
Besançon から Mulhouse までは鉄道を使う可能性大です
地図はこちらです

アルザスは Mulhouse から Colmar を経て Strasbourg まで 160㎞ を走ります
地図はこちらです
Strasbourg からモーゼル川の起点となる Nancy までは鉄道を使います

モーゼルは Nancy からモーゼル川に沿って Koblenz までの 370㎞ を自転車で走ります
地図はこちらです

Koblenz からさきはライン川に沿って Köln まで行きます
そのあとはドミニクはとりあえずムーズ川を遡りマリ=ポールと合流する計画です
わたしはオランダへ向かいクレラー・ミュラー美術館を見てアムステルダムまで行きます

このようにざっくりと計画を立ててから昼食にしました

これがまた感涙モノでした
フランスの家庭料理、サーモンとホタテガイのパテにズッキーニのフラン
それにフランス各地のチーズ
Fourme de Montbrison(モンブリゾン)
Morbier(フランシュ・コンテ) Reblochon(サヴォア)
Chévre(サン・ランベール)
Pont=l'Évéque(ノルマンディ)
3時まで食べ飲み続けそのあと昼寝しました

4時に起きてサン=テティエンヌまで買い物に行きました
このロワール県の県庁所在地は4年前に来た時よりもなぜかこざっぱりとした感じでした
漫画専門店、その名もパリ・トウキョウ
日本料理店も何軒かありました
こちらは日本人の経営らしい店
なにか懐かしい感じのする街並みです


買った物
そして今夜のごちそうはクネル・リヨネーズ!
川魚のすり身を濃厚なソースでグリルしたマリーポールご自慢の郷土料理です
ああ美味しい、美味しいと全部食べてしまいました
それにしても昼と言わず夜と言わず何を話していたのでしょう
すこしも思い出せないのだけれど楽しかった

明日出発することに決めてパッキングしました
ドミニクから「もしもの時はこれを使って」とガス噴霧器のようなものを見せられました
もしもの時ってどんな時だろう?

ともかくそのような体調の人とこれから4週間の自転車旅をするということです



2022年5月30日月曜日

ブドウ畑をめぐる自転車旅 2

ヨーロッパとの往復に前回はアエロフロートを使いました
アエロフロートはエールフランスやKLMなどよりも自転車を安く簡単に預けられるからです
でもウクライナ戦争でアエロフロートはEU圏内を飛べなくなりました

それでエミレーツを使うことにしました
エミレーツも他の航空会社よりは自転車乗りにやさしいからです

往きはドバイ乗り換えでリヨンへ向かいます
成田を飛び立ち暗い中国、インド、パキスタンの上空を経てドバイの光の海の上に出ました
名だたる産油国UAEの主要都市とはいえ電気は使い放題という印象です(あくまで印象です)
この時点ではドバイがいったいどのような都市なのか全く知りませんでした
興味がありませんでしたし空から見ただけでは何があるのか分かりませんでした
その後ドバイを見知ることになるとはこの時は思いもよりませんでした

リヨン行に乗り換えるため空港内を歩いていると大きなお祈り室のサインが目にとまりました
乗り換えの待ち時間が長い(9時間!)のでお腹がすいてきました
せっかくなので中東の料理を食べようと空港の中を探したのですが見つかりません

仕方がないのでインドのマトンビリヤーニ風のものを食べました
これが量もたくさんあり味付けもほど良く美味しかったです!
まったく何を食べても美味しいと感じられるので幸せです
ドバイからは土埃のイラク、山に雪の残るトルコ、そして霞む黒海の上空を通過しました
放送もないし他の乗客も気づいてないようでしたがウクライナにほど近い所を飛んでいます
ひとりですこし緊張していました
黒海が霞んで見えました
ブルガリア、クロアチア、イタリア、そしてアルプスと越えていきました
アルプスを越えるまでずっと曇っていましたがリヨンに着陸する直前に晴れました
4年ぶりにリヨンに帰ってきました
自転車も無事に到着しました
受け取った荷物をゴロゴロ押して出迎え口にいくとドミニクが待っていました
成田や羽田では恥ずかしくてとてもできないだろう大ハグをして再会を喜び合いました

2019年6月にブダペストで別れた時は1年経ったらまた一緒に自転車旅ができると思ってました
ところが2020年5月にドミニクは心臓を手術してリハビリ生活に入りました
それと並行してCorvid-19のパンデミックが拡大し海外旅行はできなくなりました
それでも2021年6月にドミニクはジャンジャックと北フランスの自転車旅を敢行しました
その間わたしはどこにも行けないままでした
そして今ようやくまた二人で自転車旅ができるようになったのです

日が傾きかけたリヨンの空港にはドミニクの息子のジョナタンも迎えに来てくれていました
その車に自転車と荷物を載せてドミニクの家に向かいました
遠い土地でこのように迎えてもらえることの有り難さをどう言い表したらいいでしょうか?

家では奥さんのマリ=ポールが笑顔で待ってくれていました
相変わらず絵を描くのに熱中しているようです
葛飾北斎とポパイをモチーフにしたイラストが壁に掛けてありました
さっそく再会を祝してワインで乾杯しました
ドミニクは赤、マリ=ポールはロゼ、そしてわたしには冷やした白が用意されていました
料理はタルト・ロレーヌ、サラダ、チーズ、それにフルーツです

3年ぶりに人と話すフランス語はじつにもどかしい
いつまでも飲んで食べて話していたかったのですが12時も過ぎたので寝ることに...
とりあえず明日は休養と準備にあてます

コロナのコラム
成田空港はもちろんドバイ空港でも機内でもマスクの着用が呼びかけられていました
ところがリヨン空港に着くとそれがパタリとなくなりました
歩いている人もほとんどマスクを着けていません
ヨーロッパではみんなマスクはしていないというのは本当でした
わたしもフランスに入国したなり外してしまいました
それでもしばらくスーパーなどに入る瞬間に落ち着かない感じがしました

2022年5月29日日曜日

ブドウ畑をめぐる自転車旅 1

le Clos de Vougeot にて 2022年6月3日
今年の2月にフランスの友人ドミニクにメールを送りました
ドミニクがジャンジャックと6月に行こうとしているムーズ川の旅に加えてもらうためです
ドミニクからの返事はいつもどおり前向きで「大歓迎。詳細はまたあとで」という感じでした

ムーズ川はフランス北東部が水源でベルギー、オランダと流れて北海に注ぎ込む川です
流域は神聖ローマ帝国の昔から第二次世界大戦までたびたび戦場となった場所です
川に沿って走るとおのずとその戦跡を訪ねていくことになります

4月になってドミニクからメールが来ました
ジャンジャックが娘さんの引っ越しを手伝うため6月の旅に行けなくなったとのことです
つまり三人旅ではなく二人旅になるのでついでに行先を一から考え直したいというのです

ヨーロッパには自転車道が整備されていてあちこちを訪ねるのに便利です
ちなみにフランスの自転車道はこんな感じです

見どころをいくつも繋いで魅力的な旅にしようというのがドミニクの考えです

それには賛成なのですが期間が1か月のルートを考えるのはたやすいことではありません
とても広い地域に色々な見どころが散在しているからです
それをどう結んで旅するのか考えなくてはなりません
入国と出国する都市を旅の起点・終点にする必要もあります

これまでライン川、ロワール川、ドナウ川とヨーロッパを自転車で3回旅しました
それらはいずれも大河の源流から河口へと向かって川沿いを走る旅でした
このような旅であればルートは自明でただ川に沿って旅すればいいのでした

こんどはそうはいきません
これまでは川という「線」の旅でしたがこんどは地域を結ぶ「面」の旅です

モヤモヤ考えているうちにドミニクから提案がありました
ブルゴーニュ、アルザス、モーゼルという上質なワインを産するブドウ畑をめぐる旅です
ブドウ畑の間ではディジョン、ブザンソン、トリエールなどの歴史ある都市を訪ねます
そこにはさまざまな遺跡やゆかりの人たちの家が遺されているはずです
それらを見て歩くことを考えるとワクワクしてきました

ドミニクのすてきな提案に感謝しつつ成田空港を飛び立ちました
成田空港にて 2022年5月29日
成田空港でチェックインする際に「EUが要求する質問票に回答したか」と聞かれました
そんなことは知りませんでしたので「回答していません」と答えました
すると「それを確認しないとEUへの搭乗券を発行できない」というのです

これは困まりました
三回のワクチン接種の証明書を持っていればEUへ行けるものと思っていました
「どうしたらいいでしょう?」と担当者にすがりつきました
すると「インフォメーションセンターでPCを借りて入力しては?」と教えてくれました

インフォメーションセンターへ行くとPCは一台しか無くてすでに男の人が使っています
航空券の再予約をしているらしくとても時間がかかっています
時間がどんどん経っていきチェックインカウンターが閉鎖される時間が迫ってきました

ようやくPCが空いたので質問票のページを開き回答を始めました
結構細かい情報(飛行機の座席番号など)まで入力するのに時間がかかりました
その入力を終えてチェックインカウンターに急いで戻りました
そこで入力を確認してもらいついで証拠をプリントアウトしてもらいました
これでやっとチェックインすることができました

離陸予定時刻の5時間前にチェックインの手続きを開始して完了したのは1時間前でした
自転車で走りだす前に成田空港でひと汗かいてしまいました

ほっと一息ついたところで次回の海外自転車旅に有用なことを書き残しておきます

受託手荷物について
重量 30㎏以下、大きさ 3辺の合計が300㎝ 以内
エミレーツ航空の受託手荷物の重量と大きさの制限はユルい
自分が知っている限りではアエロフロートよりもユルく世界最ユルだと思う
自転車を段ボール箱などではなくペラペラのナイロン地の袋に入れて預けられる
それは分かっていたが往きは段ボール箱に入れて預けた
段ボール箱に入れると扱いしやすいし分解が少なくて済み組み立てが楽だから
箱は南古谷のジャイアントでもらいお礼に500円のお菓子を差し上げた
箱には自転車以外にもいろいろなものをできる限り入れる
テント、寝袋、エアマット、折畳いす、弁当箱に入れた小物類など
全てを入れてガムテープで閉じた後にストレッチラップをグルグルに巻きつける
なんでもこれを巻きつけるのが最近の流行だ
体重計で測ったら27㎏だったのであと3㎏入れられたが無駄なものを持っていく気はない
空港で預ける際にタイヤの空気が抜いてあるか危険物は入れないか聞かれる

機内持込手荷物
重量 7㎏以下、大きさ 55×38×20㎝ 以内
危険物、刃物、液体などを入れない
パニアバック大に空のパニアバッグ大と小2個を入れる
空いているスペースに食器、救急薬、アダプタなどを入れる
パニアバッグは携帯しにくいし大きさが制限よりも少し小さい
大きさ制限ぎりぎりの軽い手提げに入れると持ち運びしやすい
荷物もさらに少し入れられるのでドミニクへのお土産をここに入れた
これで重量は6.4㎏だった

手回り品
これは各航空会社とも重量や大きさの制限はない
ハンドバッグやブリーフケース程度が想定されているようだ
中には機内持込手荷物とあまり変わらない大きさの物を持ち込んでいる剛の者もいる
フロントバーバッグにいろいろ詰め込んで2㎏だった
入れておくと便利なもの
歯ブラシ、歯磨き粉(100mℓ以下)アイマスク、耳栓、変圧プラグ、ガラケーアダプタ
入れてはいけないもの
凶器と見なされるもの(例 モンキースパナ、バイクツールセット)

きたいものとしては
必要であればこのジャンルをもっと活用できる