1979年5月4日金曜日

尾瀬

5月4日
 わたしは休みを多くとれるので、皆とは別に先に行くことにした。

 上野を朝早い列車で出発して沼田で降り、ガラガラのバスで富士見下まで行く。スキーをザックにくくりつけてすぐに歩きはじめる。歩きはじめから雪があるのではないかと思っていたが、全くなかった。

 1時間ほどで雪の上を歩くようになった。下ってくる人が、わたしがスキーを背負っているのを見てびっくりしていた。女性が多い。


 食料など、荷物が結構重かったが、一度も休まずに富士見峠まで登る。峠に至る最後の斜面は、スキーにもってこいのバーンだった。


 富士見小屋の中は、がらーんとして寒々しかった。素泊まりであることを伝え、荷物を片付け、腹ごしらえをしてからスキー散歩に行く。アヤメ平まで行き、周辺をスキーで歩き回った。あちらこちらにシュプールが残っていた。


 小屋に戻ると、わたしと相部屋でもう1人スキーをやる人がいた。あと別の2人と4人で、消灯時間まで酒を酌み交わした。


5月5日

 朝早く起きて、相部屋のスキーヤーと小屋の周りをいろいろ滑った。スキーは楽しい。


 小屋で昼食をとり、クラブの皆が待っている鳩待峠に向かう。その道は傾斜が緩すぎてスキーはあまり滑らなかった。峠まで1時間ほどで着き、予定通り皆と合流した。


 鳩待峠から山ノ鼻までスキーで降りたが、途中で雪が切れている箇所があり、YとTは難渋していた。山ノ鼻の硬く凍った雪の上にテントを設営し、至仏山の途中まで登ってスキーの足慣らしをした。


 寝袋の下に敷くエアマットを持ってこなかったので、雪の冷たさで夜なんども目が覚めた。


5月6日

 山ノ鼻から直すぐ至仏山に突きあげる尾根を登る。山頂までの標高差は800mほどあるが、上が良く見えているので気持ちが良い。


 至仏山の山頂付近は風が強かったが、それに負けずに滑りまくった。そのあと、山頂から山ノ鼻まで、皆で1列になり続いて滑り降り、気持ちよかった。


 このあと山ノ鼻のテントを撤収し、雪が残った尾瀬ヶ原を横断し、見晴十字路で再びテントを張った。




5月7日

 最後の日は、尾瀬沼から三平峠を越え、大清水へと下った。沼田へ出る途中の温泉で風呂に入り、ビールで無事下山を祝った。